機能する概念

2007/02/21

トレンド判定フィルタ

トレンドフォローの長所は単純である。あなたはいかなる市場でも、主要な動きを決して逃すことはないだろう
魔術師たちの心理学、P119

投資やトレード、ビジネスをやっていると、「トレンド」がいかにパワフルなのかを知ることができる。

その威力は、トレンドの発生を確認した後に、すぐにトレンドに飛び乗っても、結構な利益を出せることからも分かる。

でも、最も旨みがあるのは、トレンドがまだトレンドとして認識される前に仕掛けること。

投資家やトレーダー、ビジネスオーナーとしてのチカラは、トレンドをどこまで読んで、フォローするかという先見性にかかっているのかも知れない。

ランキングも上昇トレンド突入中?

今回は、トレンド判定をトレードシステムに組み込んでみる。

さて、トレンド判定として何を使うのか?

それは...

移動平均。

「えっ?シグナルでダメ出ししていた移動平均!?」

というのもの、”価格を動かす要因として”の移動平均にはあまり説得力がないが、トレンドの大雑把な方向を示すので、短期トレードシステムでのトレンド判定としては移動平均が適している。

次の問題は、移動平均の平均日数をどのぐらいにするか?

200日移動平均(約1年弱)を使うとちょうどいい。

では、なぜ200日か?

特にこれといった根拠がある訳ではないが、マーケットのサイクルにピッタリ来るらしい。

人間心理として、1年間は区切りがいいのと同時に、「飽きやすい」「あきらめやすい」「手放しやすい」感じになる期間なのかも知れないなぁ(実際は、3の倍数の日数や週数、月数がそういう風になりやすいサイクルだと私は思っている)。

参考までに、グランビルの法則でも200日移動平均は重要視されていて、長期機関投資家や長期トレンドフォロワーの多くも200日移動平均をシグナルとして採用しているようだ。

そして、この200日移動平均をどう使うか?

200日移動平均の方向とシグナルの方向が合っているときだけトレードを行う「トレンドフィルタ」として採用する。

こうすることで、トレンドに逆らうシグナルを排除でき、短期シグナルのダマシに合うことを避けられる。

さて、200日移動平均を出すにあたって、200日前からの日足データが必要となる。

まずは、200日分の行を先頭行の前に挿入しよう。

58行で右クリック、「挿入」で空の行が挿入される。

これを5回ほど繰り返して、58~62行を選択して、挿入を行うと、5行まとめて挿入される。

これを4回繰り返し、58~77行を選択し、挿入を行うと、20行まとめて挿入される。

これを10回繰り返せば、200行の空行の挿入は完了。

次に、200日分の過去データを手に入れる。

例によって、パンローリングの相場データ ダウンロードページから、”株式 各銘柄日足場帳ダウンロード”をクリック。

銘柄コードを入れ、日付を2003/10/8~2003/8/1と入れ、個人情報を入れてから、「ダウンロード」ボタンをクリックし、.tsvファイルとして保存しよう。

.tsvファイルの日付と4本値をコピーして、各銘柄のB58にペースト。

ここまでを、4銘柄すべてに対して行う。

これで、200日前の過去データが追加ができたので、トレンド判定用の入力パラメータを追加。

C15に「フィルタMA」、D15に「200」を入力。

それから、トレンド判定用の列を3列追加。

J列で右クリック、「挿入」で空の列が挿入される。

J51に「トレンドフィルタ」、K51に「トレンド方向」を入力。

J258に200日移動平均の式「=AVERAGE(OFFSET(F258, -$D$15+1, 0):F258)」を入力し、K258に上昇トレンドを1、下降トレンドを-1とするための「=IF(J258>J257,1, -1)」を入力。

J258~K258をコピーして、J259~K991にペースト。

これで、トレンド判定フィルタは完成。

移動平均トレンドフィルタ

最後に、シグナルにトレンドフィルタを反映させる。

O277に「=IF(M277>N277, IF(K277=1, 1, ), IF(K277=-1, -1, ))」と入力。

O277をコピーし、O278~O991にペースト。

これで、200日移動平均が上向きのときは買シグナルだけが動作し、200日移動平均が下向きのときは売シグナルだけが動作するようになり、短期システムでも長期トレンドをフォローできるようになる。

では、その結果はどうなったか?...

その続きは、次回(^o^)

ではでは(^_^y

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2007/02/20

トレンドフォロー入門

トレード戦略に対し、それがあらゆる条件下でどのように機能するかについての理解度が増すほど、過去データを用いたテストの必要性は低下する
魔術師たちの心理学、P115

昼間の仕事の会社で社員ブログなるものを4日間だけ書いた(2007/02/13~2007/02/16)。

私なりに、プログラマの可能性や自由について、飲み屋にいるオヤジのような感じ(笑)で語ってみた。

やってみて分かったことは、今はサラリーマンと言えども、文章を書ける人間がもっとも多くを得るってことかな。

自分の考えを文章で人に伝えられるチカラは、一生モノのスキルだと思う。

ここに名乗りを上げている人たちも物書きを楽しんでいるんだろうね

機能する概念は、無数にある。

代表的なものだけでも、トレンドフォロー、逆張り、ファンダメンタル分析、サイクル傾向、スプレッド取引、裁定取引、波動、ニューラルネットワーク、スキャルピング、ヘッジ、統計的取引などなど。

それぞれの概要や特徴は、魔術師たちの心理学の第5章「機能する概念の選択」(P115~P178)にだいたい書いてあるけど、実際にトレードシステムへと適用する方法をこのブログでフォローしようと思っている。

とはいえ、機能する概念を、私がたくさん知っている訳でもなければ、使っている訳でもない。

だから、だいぶ偏りは出てくるかも知れないので、その点ご注意を。

まずは、トレンドフォローについて。

トレンドフォローは、その名の通り、「トレンド」を「フォロー」するようなトレードをあらわす。

もっと分かりやすく言えば、トレンドがはじまったと分かったときにトレンド方向へ仕掛け、トレンドが終わったと分かったときにポジションを手仕舞う...トレンドフォローとは、ただそれだけのこと。

でも、最も難しいのは、「何をもってトレンドの開始/終了とするのか?」ということ。

システムトレードのセミナーや勉強会のアンケートで私が最も聞かれたことが、このトレンド判定を詳しく知りたいということだった。

かなり多くの人がそれを知りたがっているけど、あまり情報がないらしい。

私のトレードシステムで使っているトレンド判定を教えることはできないが、トレンド判定のためのヒントはいくつか出せると思う。

次回、トレンド判定を1つトレードシステムに組み込んでみる。

ではでは(^_^y

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2006/08/09

機能する概念の魔術

システムを持っている人についても、ほとんどは、既存の指標を用いているにすぎない。そのシステムの背後にある概念を理解している者はほとんどいない。
魔術師たちの心理学、P115

トレードシステムを作る上で非常に重要なことを説明するのをすっかり忘れて、バックテスト可能なシステムを作ってしまった...

実は、トレードシステムを開発する上で、Excelをいじる重要性はほんの一部分で、それ以外にこれだけやることがある。

1.自分の強みと弱みのたな卸し
2.オープンマインドで情報収集
3.目標設定
4.トレード時間枠の決定
5.過去の相場の共通点を探る
6.売買概念の機能性チェック
7.ストップと売買コスト
8.利食いと期待値
9.より利幅の大きい売買への切替
10.ポジションサイジング
11.継続的なシステム改善
12.最悪の事態に備える

冒頭でご紹介したセミナーでは、ブログでは紹介しきれない、これらシステム開発のステップを一通りわかりやすく具体的な例を示しながら説明しようと思う。

今回の記事は、これらのうち、「6.売買概念の機能性チェック」の威力について、お伝えしよう。

サンプルとして使うのは、前回までに作ったExcelの日経225移動平均システム。別名「毎日会社行ってるくせに貢ぎまくって借金だらけダメ亭主システム(笑)」(^_^)

こんなパパはイヤだ

だが、これを一発で「毎日会社行ってたっぷり稼いでくれてありがとうパパシステム(笑)」に変えることができる。

それは...

”売買シグナルと正反対の行動を取ること(^o^)”

つまり、買いサインが出たら売り、売りサインが出たら買う、ただこれだけ。

利益曲線は、上下さかさま(ただし、手数料があるため、正反対にはならない)になり、あっという間にトータルプラスのシステムとなる。

ありがとパパ

オプティミストの方だったら、「よし、これでトレードすればいいじゃん」と一言で終わりだが、機能する背景を知っておかないと、いざというときに困ることになる。

たとえば、大きなトレンドが発生したとき、この「ありがとうパパシステム」は、途端に大きなマイナスをこうむることになる。実際、利益曲線後半の2004年2月付近では、相当大きな損失を食らっている。これは、2003年12月から2004年2月までの日経225の大上昇トレンドで逆張りしてしまったせいだ。

そして、こういうことは滅多に起きないような気がするが、実は意外とよく起こる。

順張りでもダメ。逆張りでもダメ。では、移動平均を使ったシステムをどのように捕らえればいいのだろうか?

それを知るために、移動平均というものが何者なのかを知る必要がある。

移動平均は、現在から数日前までの価格の平均値を出したものだから、ずっと価格が上に向かっていれば上についていくし、下に向かっていれば下についていくことになる。また、価格が上下に小幅に動く場合は、上下の幅の真ん中あたりをうろうろすることになる。

では、価格がずっと上や下に向かい続ける場面...つまりトレンドが相場にどれぐらいあるか、あなたはご存知だろうか?

なんと、全体の15%しかないらしい。

残りの85%は、上に行くでもなく、下に行くでもなく、ふらふらしているだけ。

...ということは、移動平均に対して「順張り」が機能するのは、たった15%の区間しかないってことになる。

これで、前述の移動平均をひっくり返した「逆張り」システムが機能した理由が1つ見えてきたかな?

ただし、これは市場によって差があり、たとえば為替では、「順張り」がうまく機能する。

それは恐らく、株式と為替の一時期に集中するプレイヤーの多さの違いによると思う。

為替は、株式に比べると、とてつもなく人数がいるため、一度方向性が出ると多くのプレイヤーがそれに乗ってくる。だから、バブルの起きやすい性格を持っていて、トレンド継続時間も当然長くなる。

株式は人数も少ない上、特に日経225のようなインデックスは、日経225を構成する各々の株式銘柄毎にプレイヤーの行動がバラバラなので、トレンドがあまり発生せず、トレンド継続時間も短くなる。

このように、相場や銘柄の性格の違いによっても、移動平均の機能は変わってくる。

また、相場や銘柄の性格だけでなく、投資家自身の行動も影響してくる。

多くの投資家は、移動平均を頼りにしている。特に5日(週)、20日(月)、75日(四半期)、250日(年)といった時間的区切りのいい移動平均を意識している人はとても多い。

移動平均と価格が近くなると、「移動平均を超えて上昇する派」と「移動平均を超えずに反落する派」がせめぎ合うことになる。また、そういう場面で「買う派」と「売る派」という別の軸でもせめぎ合う。途端に出来高もボラティリティも増大し、マーケットは一時的に不安定になる。

反対に、移動平均と価格に開きが出てくるような場面...つまりトレンドが発生しているときは、投資家も大きな動きには出ない。出来高もボラティリティも縮小し、マーケットは安定している。

このように、移動平均と価格の関係が、投資家心理に影響を及ぼすことで、同じ移動平均でも、機能の位置付けが変わってくるという訳だ。

ここに、バブル時や暴落時の投資家心理を加えると、更に面白い機能を見出すことができる。

バブル状態になり、少しの悪材料でも暴落するような状態では、移動平均による手仕舞いは反応が遅すぎて使いものにならない。だから、バブルだと判断した場合、トレンドが進むにつれ平均日数をじょじょに縮めていくような工夫をしたり、移動平均よりも速いストップを使う必要がある。

暴落後は、どんなにいい好材料が出ても、みんな手痛い思いをしているため、なかなか回復してこない。こういうトレンドのないどっちづかずの状態は、移動平均が非常に苦手とする局面で、そのまま仕掛けると小さな損を出し続けるため、移動平均の平均日数をぐっと広げるか、移動平均を使わないという工夫が必要になる。

最近流行の「行動ファイナンス」という分野も、このような投資家の非合理的心理・行動を分析するためのもので、システムトレーダーにとっては、「トレードの優位性」を確保したり、相場の波に乗るために欠かせないアイテムとなる。

さて、「移動平均」という単純な指標1つを取っても、機能性を考え出すと、これだけ深い世界だということが実感できただろうか?恐らく、ほとんどの人は移動平均1つにこれだけの視点や観点があることを考えたこともないのではないだろうか?

さて、講釈はこのぐらいにして、実際にトレンドや投資家心理を加味した移動平均システムが、どのような結果を出すのかご覧にいれよう。

トレンドスイッチ型移動平均システム

この利益曲線は、上述したような機能する概念を踏まえ、「投資家心理をベースにトレンドを判定をする指標」を1つ入れ、トレンドが発生しているときは移動平均に順張り、トレンドが発生していないときは移動平均に逆張りで仕掛けるトレンドスイッチ型移動平均システムの例。

ストップを使わずとも、シグナルだけで見事にプラスばかりのシステムとなる。

機能する概念を選択することの威力がお分かりになっただろうか?

教科書通りに指標を使うだけでは、絶対にこの領域にたどり付けないことを、あなたの脳裏に焼き付けておいて欲しい。

ではでは(^_^y

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